SSブログ

Exhibition Vol473 [Paris都市へ。]

都市の記憶

今回の旅では、駆け足だが、憧れの、南仏の美しい小さな町や村を歩いて来た。清々しい空気、解合う光と影、しかし、目の前の美しい風景に、なかなか思いどうりシャッターが押せなかった。それはどうして、何故なのだろう。帰国後、撮影データを整理しながら気がついたのは、パリから小旅行に出る前日、過去の軌跡をたどり、煙突の見える風景を探し歩いた事に在るのだと。
011.jpg
1999年12月撮影。揺らめく煙、セーヌ左岸イブリー・シュル・セーヌに在るゴミ焼却工場。
0014.jpg
2000年4月撮影。モンパルナスタワー56階(地上195m)からの風景。パリを訪れるたび、初日は必ず此処へ登り風景の変化を確認し撮影に出かける。二本の煙突からゆらゆらと立ち上る煙は、この都市の息遣いのように見える。
0015.jpg
2000年4月撮影。メトロ7号線、ピエール・キュリーからセーヌ左岸へ向かうと、あの煙突が見える。パリ中心部から比べると、生活感を肌で感じる場所だ。なんとなく私の大好きな北千住の河川敷に広がる風景に近い。
012.jpg
2001年2月撮影。此処はSYCtom。イル・ド・フランスでは一番古い焼却炉、1960年に造られたそうだが、現在の姿から見ると、そんなに昔の施設には感じない。時代が求める厳しいEUの環境設定の中、最先端の技術で進化しているようだ。
http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Syctom_Ivry.jpg
0018.jpg
2008年2月撮影。この場所が何故、こんなに気になるのか?前記事で書いたように、この場所は、運河、鉄道、を中心に物流の痕跡が残る場所だからだろう。そして、それはこの都市が生き物だと考えれば、口、胃袋、排泄器官を古くから備えた場所だと言う事だ。現在では巴里の9の区と周辺の14の自治体から集められた分別不可能なゴミが集められ焼却され、そのエネルギーは巴里の8000戸の暖房に役立っている。
018.jpg
2008年2月撮影。1998年から都市と言うテーマで東京と巴里を比較しょうと思い立ち撮影を始めたのだが、文化と歴史を冷静に勉強すると、その人々が造り上げた文化はそれぞれで比較できる世界ではない事を痛切に感じた。特にゴミと言う存在こそ人間の本質を現す存在である事、そこで生きる人々の今を知るにはゴミを知る事が文化や民度の尺度になる事を。
0016.jpg
人間が存在する事がゴミを生み出す、しかしゴミが人間の存在した証でもある。石器時代のゴミの痕跡も、目の前でモクモクとゴミを焼却する煙も、人間の記憶だと。先週からゴミを巡る文献を探しまくっていたが、この二冊は本当に面白いです。ゴミの深さを知り、東京の新たな切り口のヒントが手に入りました。あの美しい村々も中世は不衛生な悪臭の立つ空間だったと、そして、その現状を克復したのも人間、現在の大気汚染も、きっと克復できると・・・。

人間とごみ―ごみをめぐる歴史と文化、ヨーロッパの経験に学ぶ

人間とごみ―ごみをめぐる歴史と文化、ヨーロッパの経験に学ぶ

  • 作者: カトリーヌ・ド シルギー
  • 出版社/メーカー: 新評論
  • 発売日: 1999/07
  • メディア: 単行本



パリ・貧困と街路の詩学―1930年代外国人芸術家たち

パリ・貧困と街路の詩学―1930年代外国人芸術家たち

  • 作者: 今橋 映子
  • 出版社/メーカー: 都市出版
  • 発売日: 1998/06
  • メディア: 単行本



nice!(13)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 13

コメント 2

julliez

フランスのモクモク、地方に行くとかなり目立った存在です。
今度は違った視線で見てみようと思います。^^
by julliez (2008-04-17 06:20) 

Abraxas XIV.

煙突の写真憶へてゐます。
何故か不思議な気分になりました。
今月はローマとベルリンに行ってきました。
ベルリンでは37年ぶり位で、小野寺さんもいらしたことのあるペルガモン博物館に行って参りました。
by Abraxas XIV. (2008-04-19 08:54) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

Exhibition Vol472Exhibition Vol474 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。