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Exhibition Vol311 [ふらっと]

Day by dayから。

「一年ぶりの再会」


Hasselblad 500CM 80mm 160NC
ベンさん。オーストラリア、シドニー生まれ。現地で現在の奥様と知り合いご結婚。奥様の故郷、ここ、能登町で、古い民宿を、お二人でリフォームしながら、1997年、イタリア料理のお店「ふらっと」を開かれた。彼の作る、地元の素材や調味料を使ったイタリアンは、都会では絶対食べられない料理だ。

宿泊用のお部屋は三室。2000年には一階に、ベーカリーとカフェを作られ、地元でも人気のお店なっている。


すべて、ご夫婦で作られたインテリア。決して豪華ではないが、自分で布を染め、襖に設えたり、地元の民具と西洋の小物を上手くミックスした、素晴らしい 空間だ。

一品目。ベンさんのスターターはいつも楽しみだ。アイデアと工夫に満ちあふれ、今まで、同じ料理は一品も出て来た事がない。今回は中心に焼きたてのパン、レンゲの中身は、鮟鱇(あんこう)の肝のムース、新鮮とれたての肝は臭みの欠片もない、日本料理のあんきもよりもクドくない風味だ、滑らかに舌の上でバタークリームのように溶けて消える。

お椀を開けると、ジャガイモのポタージュスープ。具は鮟鱇の身、レアーに仕上げた身が、口の中でぷりぷりと踊る。焼きたてのパンに、あんきものムースをぬり、口にほうりこむ、そして、すかさずスープをすする。食道と胃が暖まり、食欲がわく。

アワビの肝ソース、オリーブオイルの香り、複雑な風味は、ベンさん得意の魚醤(いしり、能登の伝統的調味料)、仄かな風味、素材の持ち味を壊さず、出しゃばらない使い方は独特だ。ヤリイカの墨ソース、やはり西洋的な味の中に、今度は烏賊醤(この地方では、魚で作った物とイカの内蔵で作った物、二種類が存在する)、旨味の成分が細やかに、新鮮なイカの甘味を引き出してくれる。白身魚(魚の種類を忘れてしまった。w)のようだけど、少し赤みが刺し、独特の旨味は、ヒラメのように上品ではなく、力強さと言うか、少し磯の香りがした。ソースは梅味、梅干しも自家製のようだ、とにかく塩の味がまろやかだ。刺身の食べ方として、たぶん、白ワインにはベストの味付けだ。

もちろん、オーストラリアワインで合わせる。赤はシェフ、ベンさんのおきいにり。白ワインは妻の好みに合わせ、選んでくれた一本。氷見にはオーストラリアワインの草分け的卸問屋さん、ビレッジ・セラーズがある。妻もここでオーストラリアにワインにハマり、現在は我が家の定番になっている。

香箱蟹(ズワイガニのメス、能登や金沢、地元ではオスより珍重される)のパスタ。もちろん、ベンさんの手打ち麺、蟹味噌、蟹の身、それを、クリームとチーズのソースで合えてある。隠し味は解らないが、この季節の定番だ。むちむちしたした手打ち麺に、蟹の濃厚なソースがからみ、体中に満足感が広がる。

ぶりの腹身のステーキだ。皮目はカリ!そして身はシットリ。ソースはバルサミコを中心に、甘味と酸味、のバランスがとても絶妙だ。赤ワインにとても、ベストマッチだ。

とどめが。かなり大きな鱸の切り身(たぶん200g以上)のソテー。ドライトマトと少し酸味の効いたソースが、油の乗った切り身とベストマッチだった。ベンさんが言うには、小さな身では美味さが出ない。この大きさだからこそ表現出来る味だそうだ。確かに、周辺部の火の通り方、中心部の油の乗った部分、絶妙なバランスだった。

今日から一ヶ月、ご家族でオーストラリアに里帰りするそうだ。ベンさんが言う。楽しいバカンスだけど、でもね、向こうに長く滞在すると、ホームシックになって、能登が恋しくなるんだよ。自分の帰る場所は、やはり、ここしかないねと。イタリア料理でも無く、日本料理でも無く、ベンさんの料理は、能登国の料理かも知れない。

Caplio R4


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きりきりととと

素敵な人物です。
by きりきりととと (2006-12-13 23:24) 

mine

素敵な人達です。
by mine (2006-12-14 05:29) 

素敵な料理です。
by (2006-12-14 08:58) 

Abraxas XIV.

素敵な写真です。^^

家もワインの定番はオーストラリア・ワインですよ~。
Lindemans とか Hardys の赤を毎晩飲んでゐます。
ワイフも娘たちも全然顔に出ないんですよね~。私だけ顔がまっかっかです。
それに、ブルー・チーズがすごくよく合うんですよね~。^^今も飲んでゐます~。それでは、オヤスミナサイ~。
by Abraxas XIV. (2006-12-14 10:08) 

JOY

待ってました^^ 
おいしそうですね~!次回はここに泊まりたいと思います~♪
by JOY (2006-12-14 14:08) 

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